夏の思い出

そう言えば、去年の友理奈ちゃんの誕生日には何してたっけ?と思い出してみた。
一応、ハローとは何の関係も無い、ただの回想録です。




8月3日。
あの日、僕は愛媛県のとある野球場でマウンドに立っていました。
ずっと目標だった、夏の大会の先発マウンド。
同学年のエースが肩を故障して、思わぬ形で巡ってきた舞台でした。


最高学年の先輩にとっては最後の試合となる夏の大会。
マスクを被って、いつもチームに気合を入れてくれる先輩のためにも。
雨の降り止まない悪天候の中、先輩の構えるミット目がけて思い切り、
1球ずつ、とにかく思い切り踏み込んで、投げました。
先輩と何度も練習した外角のスライダー。
僕の腕に力が入りすぎて、早め早めに曲がってしまったけど、
あれで三振を取れたのはほんとに嬉しかった。


僕が試合を作れたのは、3イニングまででした。
4回にランナーを背負うと、苦手のセットポジションからストレートが高めに浮いてしまってどうしようもなかった。
僕の後を継いだエースも、相手に傾いた流れを断ち切ることはできず、
結局7回コールドになって、試合は終わりました。
「お前はよくやったよ。」
先輩にこう言われて、僕は溢れてくるものを抑えることが出来ませんでした。
練習試合では、何度も体を張って僕の暴投を止めてくれた。
いつも声を張り上げて、僕らを盛り立ててくれた。
本当は外野手として試合に出たかっただろうに、
チーム事情からマスクを被ってくれて、しかも本気で、僕たちのために…。




そして、その試合を最後に、僕もマウンドに立つことはありませんでした。






…ピッチャーにとってマウンドは、本当に特別な場所です。
できることならあの場所に、もう一度立ちたい。
もう先輩は卒業してしまったけど、
自分が胸を張って、マウンドに馴染んでいるその姿を先輩に見せたい。




今日、野球部が今年の夏の大会へ向けて出発しました。
開催地の大分県まで、長旅だそうです。
たぶん、先発のマウンドには肩の治った同学年エースが立つんでしょう。
頑張れ。
頑張れ、みんな。